『寺はどうなっていくのか?』…人口が大幅に減少し、次世代を担う子どもは少なく、高齢者が圧倒的に多い社会になっていきます。そんな中、僧侶が集まって口を開けば、最近は寺に参る人が減ってきたとか、信仰心がなくなってきて情けないとか、そんな愚痴話ばかりです。
しかし、今まで「寺」を支えていた寺壇制度は、仏教といいながらも、葬儀と法事、つまり先祖教として意味合いが大きかったのが内実ではないでしょうか。松本紹圭師(浄土真宗本願寺派)は【日本のお寺は二階建て】であるとの視点で仰います。『一般の側からすると、先祖教というお寺の一階に対して、例えばお布施をしているのに対して、僧侶側は仏道というお寺の二階でそれを受け取っているつもりになっている。しかし、お寺の二階の仏道に対してまったく興味も関心もなく、「とにかく坊さんはうちの先祖の墓を守ってくれていればそれでいい」というお寺の一階にしか関わらない人たちと、二階へ呼びたい僧侶との間にミスマッチがある』…と。
ただ、お寺の二階で自らが率先して仏道を歩もうとし、またその志ある人々に助言や支援をしようとしているかと言えば甚だ心もとない状況ではないかとも思われます。
世の人々は、「寺」についてどのように思って見ているのか、首都圏の状況と地方の状況との相違はどうなのか等の情報は断片的でネガティブです。その中で、先進的な取り組みをしたり、地に足をつけて活動したりしている「住職」・「寺」・「組」・「教区」や他の仏教宗派などの取り組みも知りたいと思います。今回、京都新聞の箕浦成克氏をご講師にお迎えし、取材・アンケート結果などを通して考察・発信されたことをお聞きし、私たちが自らを振り返るとともに、再び立ち上がるエネルギーをいただき、お念仏の道を力強く歩みだす一歩にしたいと願うものです。